室山加奈子(シナジーマーケティング 営業部西日本企画制作グループ ディレクター/宣伝会議コピーライター養成講座 2012年春基礎コース、Web&広告プランニング講座2011年秋 修了)
こんにちは。今月のはじめからお付き合いいただいたこのリレーコラムも最終回になってしまいました。それと同時に今年ももう最後の週。早いものですね。
さて、コピーを学ぶ前から、これが出来たら最強だと確信していたことがあります。それは、自分で何かを紡いでいくこと。
食の業界だったら自分で料理ができること、クリエイティブだったら、自分でコピーやデザインを作れることなどがそれにあたります。アイデアを考えることはできても、それを形にできないと説得力がありません。
第1回のコラムでも触れましたが、Webディレクターというのは守備範囲が広い仕事。仕事の流れが厳密に分業されている職場もあれば、「何でも屋」と言ってもいいくらい一人で何でもやる職場もあります。私は何でも自分でやるタイプの環境に身を置くことが多かったので、下手でも、形にできる力が身についていたことは恵まれていたと思います。
しかし、私はある程度形にはできるものの、いろんな要素が「点」のままで、「点」と「点」を繋げてひとつの「線」として人を説得するのが得意ではありません。理屈は理屈、クリエイティブはクリエイティブ、繋がっているように見えてなんだかチグハグなこともあって、的外れになってしまうこともしばしば。コピーを学ぶことを通して、そんな自分の弱点の原因にも気づきました。
Webディレクターの仕事はコピー、デザイン、媒体、いろんな人の理屈や思惑といった様々な「点」と「点」を繋げて「線」にしていく。そんな仕事です。
そして、その「点」たちがうまく繋がって人の心が動く瞬間を見るのが、仕事をしていて何よりも幸せです。だけど、どんな時でも繋がるとは限らないし、未だに繋げるのは下手です。だけど、難しいからこそ、上手くできたときに嬉しいし、もっとやりたい、もっと上手になりたいと思うんです。
人の心を動かすためには、理論はもちろん必要ですが、理論を説明したところで人は「へぇ~」と思うだけで、実際には動きません。最後の決め手はデザインやコピーといったクリエイティブだと思っています。ゴチャゴチャ言うよりシンプルに、が理想です。コピーライター養成講座を通して、少しでもクリエイティブのことを学ぶことができて、本当に良かったと思います。
今の仕事は、ITを通して企業のマーケティング活動を支援すること。Webの仕組みや理屈は面白いのですが、それだけでなく、クリエイティブをもっと味方につけて、より成果の出る支援ができるよう、日々学んでいきたいと思います。
室山加奈子さんのコラムは今回で終了です。次回(1月7日)は平野慎也さん(アッシュ・ブーム コピーライター)のコラムを掲載します。
室山加奈子(むろやまかなこ)
シナジーマーケティング 営業部西日本企画制作グループ ディレクター。1979年生まれ。関西大学総合情報学部卒業後、書店アルバイト、制作会社とクライアント企業両方でのWebディレクターを経て2012年10月から現職。宣伝会議コピーライター養成講座 2012年春 基礎コース、Web&広告プランニング講座2011年秋 修了。
バックナンバー
コピーライター養成講座卒業生が語る ある若手広告人の日常
- 2012年11月 小野勇樹「いちデザイナーが感じる、言葉の大切さ。」
- 2012年10月 貝洲岳洋「(極私的)広告セレンディピティ(1)」
- 2012年9月 林潤一郎「よく考えない。」
- 2012年8月 小林麻衣子「女子力」より「おっさん力」
- 2012年7月 杉山元規「悩める29歳(1)」
- 2012年6月 栗栖周輔「学歴なし、職歴なしで広告業界に入るには」
- 2012年5月 永友鎬載「僕の失敗(1)」
- 2012年4月 大津健一「幸運の女神は最終講義で微笑んだ」
- 2012年3月 大重絵里「考え続けられる人が、輝いている」
- 2012年2月 山川力也「コピー」じゃなくて、「いいコピー」を書くために。
- 2012年1月 安田健一「土俵に上がれない時代は、土俵づくりから。」
『コピーライター養成講座』
講師は一流のコピーライターが直接指導 プロを育てる実践型カリキュラム
いまでも多くの有名クリエイターを輩出している本講座。幾度かの改変を経て、内容を一新。コピーやCMといった、広告クリエイティブだけでなく、インタラクティブ領域のコミュニケーション、マーケティングやメディアクリエイティブなど、さまざまな視点からコミュニケーションを構築する能力を養い、次世代のクリエイターを育てます。